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「北島敬三写真展 借りた場所、借りた時間」(長野県立美術館)開幕レポート。他者を映すとはどのようなことなのか【2/5ページ】

 本展は、北島の50年にわたる活動を振り返る初の大規模回顧展であり、キャリア初期から近年までの代表作を展示するもの。旧作のニュープリントや雑誌・写真集などの資料をあわせて紹介し、写真家自身による再構成のプロセスを通してその軌跡をたどる。

展示風景より「USSR 1991」シリーズ

 会場の冒頭では、正面を向いた人物のポートレイトが並ぶ、「PORTRAITS」シリーズの連作が展示されている。本シリーズは92年に始まった、複数年にわたって同じ人物のポートレイトを、白い背景、白い衣服、正面像といった同等の条件で撮影し続けたものだ。年月によって変化した。被写体の情報を絞り込むことによって、同一人物の顔や微妙な表情の変化が際立ち、その人物が持つ時間や経験が浮き上がってくる。

展示風景より、「PORTRAITS」シリーズ

 会場ではこれ以降、大まかに北島のキャリア順に作品が紹介されていく。北島が森山と新宿2丁目に開いた自主運営ギャラリー「イメージショップCAMP」で、1979年の1年間にわたり同所で月1回の連続写真展「写真特急便東京」を開催した。撮影と発表までの期間を極限まで圧縮するというコンセプトのもと発表された「PHOTO EXPRESS TOKYO 1979」は、当時の東京と若い北島の熱量が刻み込まれている。

展示風景より、「PHOTO EXPRESS TOKYO 1979」シリーズ

編集部