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「北島敬三写真展 借りた場所、借りた時間」(長野県立美術館)開幕レポート。他者を映すとはどのようなことなのか

長野県立美術館で同県出身の写真家・北島敬三の写真展「北島敬三写真展 借りた場所、借りた時間」が開幕した。会期は2026年1月18日まで。

文・撮影=安原真広(ウェブ版「美術手帖」副編集長)

展示風景より、「A.D.1991」シリーズ

 長野市の長野県立美術館で写真家・北島敬三の個展「北島敬三写真展 借りた場所、借りた時間」が開幕した。会期は2026年1月18日まで。担当は同館学芸員の松井正。

展示風景より、「UNTITLED RECORDS」シリーズ

 北島敬三は1954年、長野県須坂市生まれ。進学を期に上京し、1975年に「WORKSHOP写真学校」の森山大道の教室に参加したことを契機に本格的に写真を始めた。翌年、同校の解散を受けて森山らとともに自主運営ギャラリー「イメージショップCAMP」を設立し、76年に初個展「BCストリート・オキナワ」(新宿ニコンサロン)を開催。79年から80年にかけては『写真特急便 東京』『写真特急便 沖縄』で作品を発表し、都市と人間の瞬間を鋭く捉えたスナップショットで注目を集めた。

 『写真特急便 東京』で日本写真協会新人賞(1981)を受賞し、渡米後に刊行した『New York』(白夜書房)で第8回木村伊兵衛写真賞(1983)を受賞。その後、東西ベルリン、ワルシャワ、プラハ、ブダペスト、香港、ソウルなどで撮影し、冷戦構造下の都市と人々の姿を記録し、91年には旧ソ連取材を経て、それまでのスナップショット中心の制作を一転させ、以降は「PORTRAITS」「UNTITLED RECORDS」など、定点的・連続的な撮影によるシリーズを展開。これらの作品は、震災後の被災地域や日本各地の風景を通して、時間と記憶の層を見つめ直すものとなっている。

展示風景より、「UNTITLED RECORDS」シリーズ

編集部