主に「グッドデザイン大賞・金賞」「グッドデザイン・ベスト100」から気になったプロジェクトやその傾向を紹介したい。
最高賞である「グッドデザイン大賞」(内閣総理大臣賞)に選ばれたのは、能登半島地震における仮設住宅の建設で、解体せずに恒久的に使い続けられる新たな仮設住宅のモデルを実現した、坂茂建築設計等による「DLT木造仮設住宅」だ。このプロジェクトに関する模型やパネルは中央の櫓で紹介されている。
ウェブ版「美術手帖」では、珠洲市で実施された坂茂による「被災地支援プロジェクト」を昨年7月に現地取材している。当時の状況や建築の内部についての詳細レポートもあわせてご覧いただきたい。

金賞に選ばれたプロジェクトには、長年にわたって続けられてきた取り組みを新たな価値創造に活かしたものや、手に取った人々に豊かなコミュニケーションをもたらすもの、そして最新技術を取り入れながらも、人々がそれらとどのように向き合い、人間らしい感性や温もりを保ちながら共存していけるかを探るデザインなどが見受けられた。
近年、AIを用いたプロダクトの応募が増加傾向にあるという。しかし、たんに新しい技術の導入に重きを置くだけでなく、その技術が我々の暮らしにどのような価値をもたらし、どのような調和を生み出すのかという点が、評価においてより重視されていると担当者は語っている。



ベスト100には、防災や医療現場など、自然災害リスクが高く、少子高齢化という社会課題に対応した日本ならではのデザインや、誰もが安心して暮らせる福祉のためのデザイン、さらに地域産業を新たなかたちで振興するためのシステムなど、課題に向き合った多彩なアイデアが数多く並んでいる。とくに、若年層を中心にライフスタイル化している「推し活文化」を既存の仕組みに取り入れたアイデアは、現代の消費行動やコミュニケーションの在り方を象徴するものとして選出されており、非常に印象的であった。























