最後に紹介したいのは、本展のためにつくられた新作の数々だ。《new land》は2024年の元旦に発生した能登半島地震によって隆起し、新たに陸地となった場所で撮影された映像作品だ。ここでSIDE COREのメンバーは鳥笛を吹き、鳥を呼び寄せ、餌付けを行った。災害の痕跡であると同時に、新たに生まれた土地であるこの場所で、人為の介入と自然のサイクルの折衝によって発生する新たな風景が眼差されている。

本作は、美術館の屋上に置かれたモニターで上映され、中庭に組まれた足場を上まで登ることで本作を見ることができる。ちょうど隆起した海底と同じくらいの高さである4メートルの足場からは、本作とともに金沢21世紀美術館のいつもとは異なる表情も見ることが可能だ。

《初めての築士構木》は、ガラス板の上に、粘土によってつくられた模型サイズの建築が並ぶ作品。本作の粘土は焼かれておらず、乾燥してひび割れ、ときには崩壊するという。会期中、美術館スタッフが本作に水を与えることで、作品の形状は日々姿を変える、都市のあり方を粘土で表現した作品だ。

映像作品の《living road》は東京から能登半島へ向かう旅を写した映像作品だ。映像は4章構成で、各地の風景や出来事を記録し、高速道路から国道、旧道、そして能登の迂回路へと移り変わっていく。作品の主題は「道(ストリート)」そのものであり、土地の人々や文化と呼応しながら表情を変える道が、場所の持つアイデンティティを問いかける。




















