「SIDE CORE Living road, Living space /生きている道、生きるための場所」(金沢21世紀美術館)開幕レポート。美術館のなかに「ストリート」を【5/8ページ】

 チケットが必要となるエリアでは、まずこれまでのSIDE COREの活動を振り返るようにその作品が紹介される。自動車の中古部品店で見つけた様々な車のヘッドライトを「夜景の最小単位」として組み合わせ点灯させた《夜の息》。音響とプログラミングは、新美太基が担当し、実際に車で街を走行した音をフィールド・レコーディングをして作曲した。

展示風景より、SIDE CORE《夜の息》

 《ahead of my way》は、収集した工事看板を組み合わせたインスタレーションだ。SIDE COREが長年収集してたそれらは似ているようでいて、反射板の素材やフォントなどが細かく異なる。無機質に思える工事現場に宿る「風土」ともいえる個別性を可視化する試みといえる。

展示風景より、SIDE CORE《ahead of my way》

 さらに会場にそびえ立つのは、道路の警告表示や誘導員が持つ光る誘導棒と鉄のフレームを組み合わせて制作した巨大なオブジェだ。工事中に仮設として使用される素材が組み合わさったときに生まれる造形的な魅力が、価値転換として大きな意味を持つ。

展示風景より

編集部