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「複数の存在」として考える都市と場所。SIDE COREインタビュー

ストリートカルチャーとアートシーンを接続する活動を展開するアーティスト・コレクティブ、SIDE CORE。青森公立大学国際芸術センター青森(ACAC)にて、ともに活動するグループEVERYDAY HOLIDAY SQUADによる個展「under pressure」のディレクションを行い、青森の土地や歴史についてのリサーチをもとに新作を発表した。メンバーの高須咲恵、松下徹、西広太志と映像制作を担当する播本和宜に、展覧会の担当学芸員が聞いた。

文=慶野結香(青森公立大学 国際芸術センター青森[ACAC]学芸員)

東京・京浜島のスタジオにて、左から松下、西広、高須 撮影=高見知香

街の複雑性をとらえ、新たな公共圏をつくる

都市の定点観測

 SIDE COREは様々な展覧会やアートプロジェクトの企画・制作を手がけている。その多岐にわたる活動の全体像をとらえることは困難だと言えるだろう。その活動の先駆けとなったのは、高須を中心に企画された展覧会「トウキョウアーバンアーート」(2011 、Blijeven、東京)だった。「この展示では、東日本大震災後の都市/東京での表現について考えました。あらゆる価値観がゆらぐ状況下で、アーティストが都市でいかに生きているのかを改めて提示する機会でした。この参加作家の中に松下もいました」(高須)。

 続いて行われた展覧会「SIDECORE―日本美術とストリートの『感性』」(2012、BAT-SU ART GALLERY、東京)からは松下が企画に参加し、都市とアートに加え、グラフィティへも関心が拡大した。この展覧会シリーズ「SIDE CORE」は2014年までに計4回行われ、ストリートカルチャーを軸としながら都市空間で試みられているアーティストの実践を多様なテーマで紹介。翌15年頃からSIDE COREは匿名アーティストグループEVERYDAY HOLIDAY SQUAD(EHS)と活動をともにするようになる。

 「ストリートアートやグラフィティに関する価値観には、ルールとスタイルという概念が強かったんです。でも2010年頃から、SNS(Twitter、Instagramなど)の登場によってジャンルのボーダーが緩み、多様性が広がったのだと思います。『SIDE CORE』展に参加してもらったアーティストは年上が多く、当時僕たちの世代にはあまり目立ったプレイヤーがいませんでしたが、最近は若いアーティストも増えました。EHSのように、ストリートのアーティストが様々な業種の人々と協力して行うプロジェクトは10年以降、世界的に増えています」(松下)。

SIDE CORE《MIDNIGHT WALK tour / TOKYO 2020》より

 活動が本格化し9年が経つが、最近映像作品化された《MIDNIGHT WALK tour / TOKYO 2020》(2021、THEATRE for ALL)をはじめ、SIDE COREは東京という都市を定点観測し、その状況や変化を俊敏にとらえながら、遊び心も感じさせるプロジェクトとして作品にフィードバックし続けている。繰り返される再開発や東京オリンピックの計画による都市の変化、新型コロナウイルス感染症の影響を、いかにとらえているのだろうか。

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