福山市内にあるふくやま美術館では、「後山山荘(旧・藹然荘)の100 年とその次へ|福山が生んだ建築家・藤井厚二」が開催されている。「藹然荘(あいぜんそう)」は、福山の豪商「くろがねや」12 代当主・藤井与一右衛門が鞆の浦に構えた別邸だが、1932年頃に弟子の藤井厚ニが自邸「聴竹居」の写しといえるサンルームを増築。しかしその後長らく人々に忘れられ、一時は崩壊した姿で見つかった。現在は「後山山荘」(改修· 設計=前田圭介)の名で再生されている。
会場の中央には、当時発見されたときの廃墟状態の模型が展開されている。会場に足を運んだ誰もが面白いと感じられるような展示内容にしたいという意向から、廃墟状態を模型にするというアイディアにいたった。模型は実際の10分の1サイズ。また壁面には、藤井や「後山山荘」への再生について、イラスト付きで説明されている。

JR福山駅前には、石上純也によるキオスクが設置される。天候の関係で取材日に設置が間に合わなかったが、会期中には《雲が降りる》というタイトルで立ち上がる予定。常石造船とツネイシカムテックスとの連携により実現させる。
本建築祭の総合ディレクター・白井は、次のように語る。「構想から約10年をかけて実現した本建築祭。大阪・関西万博2025、瀬戸内国際芸術祭2025、岡山芸術交流2025の開催、そして戦後80年にあたる節目の年でもある今年に、どうしても開催したいという想いがあった。何を指針に生きていけば良いかが不明瞭ないまだからこそ、建築という切り口から、未来をともに考えていく機会をつくりたい。また日本だけでなく世界に開かれた建築祭として、今後も長く続いていくようなものとなることを目指したい」。
日本で初めてとなる国際的な建築祭の開催。広島を中心とした瀬戸内というエリアを舞台に、今後どのような展開を見せていくのか要注目だ。



















