最後となる第3章「光のパワー」では、色を感知する際の光の役割に焦点を当て、とくにシルバーやゴールドといった反射する素材において光がどのように作用するか観察する。



スリートーンカラーのゴールドにシルクコードとダイヤモンドをあしらった《「セルペンティ」イブニングバッグ》(1978頃)は、ブルガリの「メローネ」バッグの成功を物語るバッグ。当時もっとも人気があり、多くの人々から買い求められたという。ホワイト、レッド、そしてイタリア語で「アクア・ディ・マーレ」と呼ばれる希少なブルーグリーンの色調がゴールドに織り交ぜられ、メゾンの卓越した金細工の技量を体現している。

展示の最後は、中山晃子によるインスタレーション《Echo》と本展メインビジュアルにも使われている《コンバーチブル・ソートワール=ブレスレット》(1969頃)で締め括られる。

中山晃子の《Echo》は、シャーレの中で音の振動によって動く液滴が、流動的なフォルムを形成する様子を空間全体に投影する作品だ。
いっぽう 《コンバーチブル・ソートワール=ブレスレット》はソートワールにもブレスレットにもなるジュエリーで、とりわけ多くの色石が用いられているマスターピース。イエローゴールドにアメシスト、ターコイズ、シトリン、ルビー、エメラルド、ダイヤモンドがあしらわれており、万華鏡のような色彩を見せる。本展に通底する、ブルガリの色彩とその物語の豊かさを体現している。

卓越した技によって生み出されたブルガリのハイジュエリーの数々。その魅力をさらに引き出すSANAAの会場デザイン。そして、ブルガリの持つ色彩とコンセプトの面で呼応するアート。すべてが見事に調和した展覧会を、ここ東京で体験してほしい。なお本展は世界へと巡回する予定だ。



















