ティファニー銀座──ミュージアムのような旗艦店

7月、ティファニーのアジア最大の旗艦店となる「ティファニー 銀座」がオープンした。その革新的な建築とインテリア、空間を彩る現代アートの一部を紹介する。

文=住吉智恵

1階フロア。中央の壁面にミケランジェロ・ピストレットの《Color and Light》(2024)が展示されている

 銀座6丁目にオープンした「ティファニー銀座」は、そのアイコニックなジュエリーコレクションやブランドの歴史を物語るアーカイブはもちろん、世界的建築家によるファサードや内装デザイン、厳選されたコンテンポラリーアートが一堂に会するミュージアムのようなストアだ。

 ファサードを手がけたのは日本を代表する建築家・青木淳。たおやかに波打ち滴る水を思わせる外装のデザインは、ルイス・コンフォート・ティファニー作のウィステリア テーブル ランプからインスピレーションを得ている。藤の花の天蓋をステンドグラスで表現したこのランプは3階に展示されているので、建築デザインとのダイナミックな対比の妙を味わってほしい。

ティファニー 銀座外観

 内装デザインを手がけたのは建築家のピーター・マリノだ。ブルーを基調に、フロアごとにまったく異なるインテリアデザインやディスプレイを展開している。和紙や金箔をふんだんに使った端正な天井の装飾を施した部屋もあり、ジュエリーと呼応する照明が特徴的だ。

 いっぽう、とくに大切な顧客やオーダーメイドのためのVICルームでは、いずれも調度やファブリック、アート作品、花の選定やアレンジに至るまで、マリノの精緻かつプレイフルな審美眼に選び抜かれた濃密なしつらえに心躍らされる。

 館内に散りばめられた約50点に及ぶ質の高いアート作品と、日本初公開40点以上を含む60点以上のアーカイブの名作は、このストアを巡る体験をさらに魅惑的にしている。ここではとくに注目したい現代美術のアーティストとその作品を紹介する。