本展は全6章立ての構成となるため、そのハイライトをお届けしたい。
メインとなるのは、やはり浦上コレクションによる圧倒的な作品数による展示だろう。北斎の数ある代表作のなかでも国内外でとくに知られている「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」をはじめ、森羅万象を描いた絵手本『北斎漫画』、北斎絵本の傑作『富嶽百景』が一堂に会しているほか、曲亭馬琴らとの共作で、巷に読本ブームを巻き起こした『椿説弓張月』『新編水滸画伝』『釈迦御一代記図会』の挿絵などもあわせて紹介されている。

とくにこだわりを感じるのはその空間演出だ。壁面やタペストリーとして配された北斎作品の数々はおよそ100倍にも引き延ばされており、空間に迫力をもたらしている。かつ、作品の細やかなポイントも見ることができ、本来小さな絵にもかかわらず、細かな筆致で描かれていることにも気がつくことができるだろう。
また、北斎の取り組みや各作品の見どころを“北斎のしわざ”としてピックアップしている点も、本展ならではの試みだ。音声ガイド内でも紹介しているため、あわせて楽しみたい。























