そんなguntûが、今年の8月に初めて特別航路として、大阪航路を運航した。瀬戸内海は日本最大の内陸海で、安定した気候や穏やかな波が特徴だが、大阪航路での運航を実現するえうえで問題は生じなかったのだろうか。
そもそもこのプロジェクトは、大阪港エリアを活性化したいという行政の想いとguntûの航路テーマが重なって始まった。せとうちの歴史を紐解きながら特別航路のアイディアを生み出すguntûは、もとより北前船に着想を得た航路も検討していたため、この時期にあわせてプロジェクトが始動。年間を通じて比較的波が穏やかで、陸岸に囲まれており外海の影響が少ない水域である「平水区域」用につくられたこの船は、同じく平水区域である大阪湾にも、ルール上運航させることは可能である。しかし既存の発着港から航路を伸ばすと一度区域を外れてしまうなどの課題もあり、最終的には船体のみ明石海峡を越境させ、新たに航路を引くことで実現させた。

新航路を開拓するためには、地元の人々の協力も欠かせない。新しい航路の企画実現も担うguntûの支配人・中山裕章は、その土地にしかない手つかずの魅力を提案するためには、地元の人々との連携が重要だと語る。地元の食材を使ったり、停泊中のアクティビティで地元の人々が実際に生活をする場所を訪れたりと、guntûでの体験にはその哲学が随所に感じられる。2017年から約8年の歳月をかけて少しずつ築き上げてきた地元を巻き込む取り組みが、一層この船の上での時間を豊かなものにしているのは間違いないだろう。
唯一無二の存在を目指すというguntûは、アートや建築を含めホットな瀬戸内エリアで、今後も様々な展開を見せるに違いない。瀬戸内をつなぎ新たな魅力の発掘を続けるguntûの、今後の動きにぜひ注目してほしい。




















