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「美術の遊びとこころⅨ 花と鳥」(三井記念美術館)開幕レポート。身近な自然と動物は古美術でいかに花開いたか【3/4ページ】

 絵画作品は鳥を描いたものが数多く展示されている。伝牧谿筆の《連燕図》(13世紀、南宋時代)は、蓮の花で羽を休めるツバメを潔い筆致により描いたもの。薄墨で描かれた蓮や葦とは対照的に、ツバメは濃い墨で描かれており、その対比が鮮やかだ。

展示風景より、右が伝牧谿筆《連燕図》(13世紀、南宋時代)

 《海辺群鶴図屏風》(1885)は、北三井家の8代目、三井高福の筆によるものだ。円山応挙の同名の屏風を写したもので、海辺に立つツルの群れの躍動感あふれる描写が魅力だ。絵画、書、工芸など多才を発揮したという高福を忍ばせる一品。

展示風景より、三井高福《海辺群鶴図屏風》(1885)

 渡辺始興筆の《鳥類真写図巻》(18世紀、江戸時代)は、全長約17.5メートルに63種類の鳥が描かれている。始興が24年間の長きにわたり、鳥を観察して描かれたという本図巻の傍らには実在の鳥の写真が置かれ、描かれた鳥たちと見比べながら鑑賞できるよう工夫されている。ぜひ会場で始興の仔細な部分を見つめた観察眼を体感してほしい。

展示風景より、渡辺始興筆《鳥類真写図巻》(18世紀、江戸時代)