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「美術の遊びとこころⅨ 花と鳥」(三井記念美術館)開幕レポート。身近な自然と動物は古美術でいかに花開いたか【2/4ページ】

 陶磁器の、釉の質感を活かした様々な表現も目を引く。野々村仁清による《色絵蓬菖蒲文茶碗》(17世紀、江戸時代)は、胴に茶褐色の釉を流し掛け、掛からなかったところにヨモギとショウブを描いた。流し込みの偶然性をうまく生かしながら、植物の瑞々しさを引き立てる細やかな美意識が光る。

展示風景より、左が野々村仁清《色絵蓬菖蒲文茶碗》(17世紀、江戸時代)

 足利義政が所持した唐物肩衝茶入を代表する銘品《唐物肩衝茶入 銘 遅桜》(12〜13世紀・南宋時代)。本品より早く世に知られた唐物肩衝茶入《初花》(徳川美術館蔵)と対比し、初花よりも珍しい遅咲きの桜に例えてこのように命名したという。室町時代の言葉による高度なは、その銘にも現れる。

展示風景より、《唐物肩衝茶入 銘 遅桜》(12〜13世紀・南宋時代)