第5章 新板画へ
学生時代から五葉は自ら浮世絵を蒐集し、研究を重ねていた。その研究を支援していたのが版元・渡邉庄三郎だ。
渡邉は「新版画」提唱者であり、五葉は渡邉とともに《浴場の女》(1915)を制作。これは新版画における最初期の作品となった。

会場には同作のほか、《化粧の女》(1918)、《髪梳ける女》(1920)など、五葉による新版画の傑作が展示。生前、五葉が制作した新版画はわずか13点ではあるものの、いずれも珠玉の作品と言える。



日本の伝統的な美意識と世紀末美術の美意識を融合させ、独自の芸術世界を築き上げた五葉。41年という短い生涯で、画家、装幀家、版画家、浮世絵研究者というマルチな活躍を見せた五葉の全貌を確かめてほしい。
なお本展は府中市美術館の後、碧南市藤井達吉現代美術館(7月23日〜8月31日)、久留米市美術館(9月13日〜10月26日)に巡回する。



















