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「周辺・開発・状況 — 現代美術の事情と地勢 —」(下瀬美術館)開幕レポート。東アジアの記憶をつなぎ合わせる「現在」【10/10ページ】

 ソウルを拠点としているオミョウ・チョウは、彫刻作品やインスタレーションを制作する傍ら、SF作家としても活躍している。

展示風景より、オミョウ・チョウ《Nudihallucination #1》(2022)

 チョウはアメフラシをモチーフに、ガラスを使用した作品を作成。アメフラシは神経科学の研究において、人間の脳細胞を理解するうえで示唆的な生物として知られている。チョウは生物における記憶、そして根源的なテーマを、細胞のレベルから問うている。

 80〜00年代に生まれ、時代の激しい変化のなかでそれぞれの問題意識のもと、時代の精神を汲み取ってきた作家たち。美術館の建つ土地性と、その周縁にある歴史を、現代のアジアというひとつの環境のなかでとらえようとする意欲的な試みとなっている。

編集部