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「周辺・開発・状況 — 現代美術の事情と地勢 —」(下瀬美術館)開幕レポート。東アジアの記憶をつなぎ合わせる「現在」【8/10ページ】

 久木田大地は、古典絵画が現代社会にいかに受容されているのか、ということに興味を持ち、油彩作品を中心に作成している。

 久木田の作品は古典絵画のイメージを引用しつつ、反復、再構成、拡大といった、現代的なサンプリングを経て制作される。ファミリーレストランの壁にかけられたルネサンス期の絵画の複製のように、日常のなかに溶け込んだ古典的イメージが、改めて異物として立ち上がる。

展示風景より、左から久木田大地《C.Y.C.L.P.S_02》《2025》、《Repetition_聖ヴォルフガングと悪魔01》(2023)

 このような歪さをもった久木田の絵画が、本展では鈴木の作品と組み合わされていることも興味深い。現代において、身体のイメージがいかに切り刻まれ、拡散されているのかを来場者に問いかける。

編集部