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「アンゼルム・キーファー:ソラリス」開幕レポート。二条城で結びつく、キーファーと日本【5/5ページ】

 《オクタビオ・パスのために》の隣にあるガラスケースの作品《月のきるかさの雫や落つらん》(2018-24)は、江戸末期の尼僧で歌人・大田垣蓮月の詩に着想を得たもの。巨大なケースの中にはキーファーのパレットが吊るされ、その下部には破損した絵画用の木枠と鉛の枕などが積み重なる。

展示風景より、手前が《月のきるかさの雫や落つらん》(2018-24)

 畳の間に広がる数えきれない麦の穂。《モーゲンソー計画》(2025)と題された本作は、第二次大戦中にドイツ出身のアメリカ合衆国財務長官のハンス・モーゲンソーが立案した、ドイツを農地化させる占領計画「モーゲンソー計画」を想起させる。敗戦と荒廃をイメージさせる風景でありながら、いっぽうでゴッホの《ヤマウヅラの麦畑》をも彷彿とさせる作品だ。

展示風景より、《モーゲンソー計画》(2025)
展示風景より、《モーゲンソー計画》(2025)の部分

 人類の記憶と苦難、そしてそこからの超克を圧倒的な作品によって伝えるキーファー。本展に並ぶ作品も同様であり、歴史や哲学、宗教などから取られた題材が象徴的に使われている。しかしゲスト・キュレーターの南條が語る通り、「それらをいかに読むかは鑑賞者に開かれている」のだ。

展示風景より、《オーロラ》(2019-22)
展示風景より、左から《アンゼルムここにありき》(2024)、《ライン川》(2024)
展示風景より、《谷間に眠る男》(2013)
展示風景より、《ダナエ》(2018-24)

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