2階と新館展示室では、「幾何学的抽象」「タイポグラフィ」「イラストレーション」「写真」の4つの観点から戦後西ドイツのグラフィックデザインをひも解く構成となっている。
「幾何学的抽象」のテーマでは、1919年ヴァイマールに設立された造形芸術学校「バウハウス」にまつわる作品が紹介されている。ドイツのデザインとして真っ先に想像するのはバウハウスに関するものであるが、ナチスの弾圧で33年に閉校。この時期に一度モダンデザインの理念が廃されたものの、戦後の西ドイツでこれが継承されるかたちとなった。技術の進歩も相まって、新たな時代の表現が追求されたことも見受けられる。

「タイポグラフィ」は、グラフィックデザインにおいて情報を伝達するための必要不可欠な要素であり、可読性を欠くことができないという絶対条件がある。そのなかで、いかに言語コミュニケーションをデザインしていくかというデザイナーたちの意図がこのテーマでは読み取ることができる。その様相は、きっちりと設計された書体デザインから、遊び心あふれるもの、また手描きのものまで様々である点もおもしろいポイントだ。

