「蜷川実花展 with EiM:彼岸の光、此岸の影」(京都市京セラ美術館)開幕レポート【3/3ページ】

 人の背丈程度の大きな6枚のガラスパネルで構成された《Silence Between Glimmers》には、花畑や蝶、藤の花、桜、海中の光景が展開。この写真と対を成す6枚のオーロラフィルターが、鑑賞者の動きや視点によって多様な光の表情を映し出し、空間全体を鮮やかに彩る。

展示風景より、《Silence Between Glimmers》
展示風景より、《Silence Between Glimmers》

 これと隣接するのは、天井から吊るされた1500本におよぶクリスタルガーランドで構成された《Whispers of Light, Dreams of Color》だ。同作には10万個におよぶクリスタル、サンキャッチャー、蝶、星、ハート、⽬玉、イミテーションの宝石など様々なモチーフが散りばめられている。手仕事の記憶と多様性が集積した、宝箱のような空間だ。

展示風景より、《Whispers of Light, Dreams of Color》

 《Dreams of the Beyond in the Abyss》は本展覧会のハイライトとなる大作。膨大な数の造花が咲き乱れる空間を抜けた先にあるのは、4面をLED ディスプレイに囲まれ、上下を鏡で挟まれた空間。映像には京都の八阪神社の桜や花火、蝶など様々なイメージがあふれ、その中に入ることで強い没入感を得ることができる。

 「見た後で世界との接し方が少しでも変わる経験をしてもらいたい」と蜷川が語る本作は、鑑賞者を現実ともっとも遠い場所として位置付けられる「深淵の世界」へと連れて行ってくれる。

展示風景より、《Dreams of the Beyond in the Abyss》
展示風景より、《Dreams of the Beyond in the Abyss》
展示風景より、《Dreams of the Beyond in the Abyss》

 《Dreams of the Beyond in the Abyss》で強烈な体験をした後に待ち受ける映像作品《Embracing Lights、そして《Liminal Pathway》は、鑑賞者をふたたび現実世界へと連れ戻してくれるだろう。

編集部

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