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「平安文学、いとをかし―国宝『源氏物語関屋澪標図屏風』と王朝美のあゆみ」(静嘉堂文庫美術館)開幕レポート【2/3ページ】

初公開の紫式部図や俵屋宗達の国宝も

 3章は、時代を超えて読み継がれ、様々な芸術にインスピレーションを与えてきた紫式部の傑作『源氏物語』にフォーカスしたもの。

 土佐光起による《紫式部図》(江戸時代 17世紀)は細密描写が存分に生かされたもので、文机に肘をつき、手に筆を取る姿は石山寺で琵琶湖に映る月を見て『源氏物語』を書き始めたという伝承に基づくもの。本展が初公開だ。

展示風景より、土佐光起《紫式部図》(江戸時代 17世紀)
展示風景より、住吉具慶《源氏物語図屏風》(江戸時代 17世紀)

 本展のハイライトは国宝である俵屋宗達の《源氏物語関屋澪標図屏風》(1631)だ。本作はその名の通り、「関屋」と「澪標」の場面を各隻に描いて組み合わせた作品。ともに、光源氏と女君の邂逅の場面だが、主人公の姿は明示させず牛車と舟でその存在を暗示している。関屋の山や澪標の太鼓橋など、大胆な画面構成からは宗達の優れた感性が見出せるだろう。なお本作はもともと京都の醍醐寺に伝わったもので、1895年頃に三菱財閥2代目で静嘉堂文庫美術館の礎を築いた岩﨑彌之助(1851〜1908)が醍醐寺に寄進した返礼として岩﨑家に贈られたものだという。

展示風景より、国宝 俵屋宗達《源氏物語関屋澪標図屏風》(1631)
展示風景より、国宝 俵屋宗達《源氏物語関屋澪標図屏風》(1631、部分)
展示風景より、国宝 俵屋宗達《源氏物語関屋澪標図屏風》(1631、部分)
展示風景より、《源氏物語蒔絵源氏箪笥》(江戸時代 18〜19世紀)

編集部

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