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「平安文学、いとをかし―国宝『源氏物語関屋澪標図屏風』と王朝美のあゆみ」(静嘉堂文庫美術館)開幕レポート【3/3ページ】

静嘉堂文庫美術館初の現代作家の展示も

 最終章は、11世紀から12世紀にかけての調度手本の名品から、平安古筆と料紙装飾の美の世界を紹介するもの。書に堪能な人物(能書)が揮毫した「古今和歌集」や「和漢朗談集」などの作品は、身の回りにおいて鑑賞する調度品「調度手本」として重宝された。本章に展示された国宝「倭漢朗詠抄 太田切」(平安時代 11世紀)は、北栄からもたらされた唐紙に、日本で金銀泥で花鳥や草木の下絵を描き加えた料紙を用いたもの。まさに調度手本の代表的な作品だ。

展示風景より、国宝「倭漢朗詠抄 太田切」(平安時代 11世紀)

 なお今回、静嘉堂文庫美術館にとって初となる現代作家の展示として、ガラス作家・山本茜(1977年石川生まれ)による作品も登場した。山本はライフワークとして源氏物語五十四帖の、透明なガラスの中に截金を閉じ込めた「截金ガラス」という独自の手法による作品化に取り組んでおり、現在二十二帖分が完成している。会場ではそのうちのふたつ、「空蝉」(第三帖)と「橋姫」(第四十五帖)を見ることができる。

展示風景より、山本茜《源氏物語シリーズ第三帖「空蝉」》(2019)
展示風景より、山本茜《源氏物語シリーズ第四十五帖「橋姫」》(2021)

 この展示は、同時代の作家を支援してきた岩﨑彌之助らの精神を受け継いだ試みであり、同館では今後も現代とのつながりを模索していくという。

編集部

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