第4章「情報技術の誕生と資料理解の変化」では、歴史資料に対してコンピュータ技術を応用する試みを紹介。本章では、現存する洛中洛外図屏風のなかでもっとも古いとされる、重要文化財《紙本著色洛中洛外図屏風(歴博甲本)》(16世紀前半)を、原本とともに大型の4Kタッチパネルディスプレイでも表示。デジタル複製の意義とともに、アナログの複製の意義も考えられる展示となっている。
第5章「技術の進展とデジタル技法の『いま』」、第6章「未来の歴史資料像と博物館」では、デジタル化の技術、そしてデジタル化した資料をどのように活用していくのかを考える。
《紅絖地御簾檜扇模様絞縫振袖》(江戸時代)は3Dモデルとしても記録されているが、本展ではこのモデルを生かして人の動きに合わせてこの振袖を着ることを疑似体験できる装置を紹介。また、仏像の内部から発見された金銅仏を3Dプリンタで複製したモデルなども展示されている。
人々の生活や文化の歴史の断片をどのように未来に伝えるのか。また、どのような方法をとればより良いかたちで残すことができるのか。ぜひ会場で考えてみてほしい。