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プラダ主催の文化を体験する2日間の旅。東京都庭園美術館の「PRADA MODE TOKYO」はなぜ実現したのか?

プラダが手がけるカルチャーイベント「PRADA MODE TOKYO」が2日間の幕を開けた。展示やトーク、音楽、フードなど様々なプログラムで構成されるこのイベントは、いかに実現したのか?

PRADA MODE TOKYOの仮設パビリオン

 プラダが手がけるカルチャーイベント、「PRADA MODE」が東京都庭園美術館にやってきた。同イベントは、アーティストのカールステン・ホーラーが手がけた「Prada Double Club」(2008/2009年ロンドン、2017年マイアミ)から生まれた、アート、音楽、食、エンターテイメントの分野を横断して一期一会な体験をもたらす、コンテポラリーカルチャーをテーマにした世界巡回型イベント。

 これまで2018~2022年にかけ、マイアミ、香港、ロンドン、パリ、上海、モスクワ、ロサンゼルス、ドバイの8ヶ所で開催され、シアスター・ゲイツ、ジェイミー・ダイアモンド、ケイト・クロフォード、トレヴァー・パグレン、賈樟柯、ダミアン・ハースト、マルティーヌ・シムズなどのアーティストや映画監督、写真家による作品やインスタレーションを展示してきた。

 PRADA MODEにとって9ヶ所目となる「PRADA MODE TOKYO」は、5月12日と13日の二日間にかけて行われるイベント。敷地内には西沢立衛による仮設パビリオンをはじめ、バーなども設置され、特別感を醸し出している(西洋庭園は招待者限定)。

PRADA MODE TOKYOの仮設パビリオン

 2日間にわたり様々なプログラムが展開され、トークプログラム(招待者限定)には杉本博司や千宗屋、石上純也、長谷川祐子、渋谷慶一郎、朝吹真理子らが登壇。また、美術館入り口の「ゲートハウスギャラリー」(一般公開)では、妹島がキュレーションした名和晃平、磯谷博史、三嶋りつ惠、ナイル・ケティングらによる作品が展示される。

ゲートハウスギャラリーの展示風景より、名和晃平《PixCell Flamingo》(2023)
ゲートハウスギャラリーの展示風景より、手前は磯谷博史の作品
ゲートハウスギャラリーの展示風景より、三嶋りつ惠の作品

 東京都庭園美術館は、その名の通り東京都が所管する美術館だ。今回のイベントは、東京都によるユニークベニューの実験的活用の一環で行われるもので、通常の利用区分とは異なるかたちでのイベントが実現した。

 東京都生活文化スポーツ局文化振興部長の蜂谷典子は、「東京都はこれまで美術館・博物館などの公的施設を一般貸し出しする事業はやっていたが、閉館後など限定されていた。PRADA MODE TOKYOを実証実験とし、その結果をもって今後のユニークベニューの貸し出しにも生かしたい」と、この取り組みに強い意気込みを見せている。

庭園には椅子やバーカウンターなどが設置された

 今回、西洋庭園に象徴的な存在として設置された西沢立衛による巨大な屋根(パビリオン)は、あくまでもテンポラリーなもの。イベント終了後には撤去される。これも、庭園に屋根を設置するとどのようなリアクションがあるのかを試すためのものだという。

 昨年7月に同館館長となった建築家・妹島和世は、「東京都庭園美術館は美しい建築と庭園からなる場所。東京都とも、庭園を含めた美術館全体を活かすようなことを考えているなかで、プラダからの提案があった」とイベントの背景を語る。

 今回のイベントは招待者限定のエリアと、パブリックに開かれたエリアで構成されているのが大きな特徴だ。こうしたエクスクルーシブとパブリックのエリアを織り交ぜながら、美術館全体の回遊性を高める──そうしたことが可能かどうかを検証することも、このイベントの意義のひとつとなっている。「PRADA MODE TOKYO」が東京都庭園美術館のみならず、都立美術館全体の未来にどのようにつながるのかは要注目だ。

妹島和世

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