ダ・ヴィンチの真の姿を追う。世界初の試み、「夢の実現」展とは何か?
最新の研究や技術を駆使し、レオナルド・ダ・ヴィンチによる絵画、彫刻、建築、工学系発明作品などを復元する「夢の実現」展が、1月26日まで代官山ヒルサイドフォーラムで開催されている。ダ・ヴィンチの実現できなかった夢を実現し、その絵画を本来の姿で見せる本展の見どころとは?
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レオナルド・ダ・ヴィンチの没後500年を記念し、東京造形大学は、レオナルド・ダ・ヴィンチによる未完成作品や構想を再現するプロジェクト「Zokei Da Vinci Project」を実施。その集大成が、1月5日から26日まで代官山ヒルサイドフォーラムで開催されている「夢の実現」展だ。
本展では、現存するダ・ヴィンチの真作、あるいはダ・ヴィンチ作であろうと考えられている16点の絵画作品をはじめ、彫刻、建築、工学系発明作品などの未完成作品約30点を、最新の研究や技術を駆使して復元展示している。
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監修を務めるのは、ダ・ヴィンチ研究の第一人者である東京造形大学教授・池上英洋。池上を含めた7人の指導教員のもと、同大学の約100人の学生、大学院生、卒業生が復元作業を手がけてきた。
池上は本展のコンセプトについて、「レオナルドが実現できなかったことを我々が補い、制作したあとに劣化した作品の真の姿を復元したい、というふたつのコンセプトからスタートしました」とコメントしている。
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もっとも注目したいのは、ダ・ヴィンチ唯一の現存壁画《最後の晩餐》を復元したものだ。ダ・ヴィンチが1495年から98年にかけて制作した本作は、ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラーツィエ修道院の食堂壁面に描かれたもので、制作直後から顔料層の剥離が起き、加えて壁画裏にある厨房の湿気によって発生したカビが何世紀も真っ黒に覆っていたという。ナポレオンによる占領時代や第二次世界大戦を経て、本作は1999年より、20年にわたる修復が行われたが、現在でもかなりの部分が剥離した状態となっている。
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本展では、遠近法による仮想空間を用いて求められた、同作に描かれた部屋の正確な形状やサイズをもとに、剥離部分を周囲の色で補った。キリストの足先など完全に消失した部分は、ダ・ヴィンチの弟子たちによる模写作品を参考して復元したという。
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また、ダ・ヴィンチのもっとも知られている絵画作品《ラ・ジョコンダ(モナ・リザ)》や、2017年のオークションで約508億円で落札され、オークション史上最高額を記録した《サルバトール・ムンディ》、そして未着色作品《聖ヒエロニムス》と《東方三博士(マギ)の礼拝》を、復元した本来あるべきだった姿と、原作の写真と比べながら鑑賞できるのが本展の大きな見どころだ。
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絵画のみならず、ダ・ヴィンチは彫刻や建築、工学など様々な分野にも顕著な業績や手稿を残した。本展では、ダ・ヴィンチがミラノで取り組むも、結局鋳造されなかった史上最大の騎馬像計画である《スフォルツァ騎馬像》を復元した彫刻作品も展示。これまで数度復元されたことのある三脚接地ポーズとは異なる、両前脚をあげるポーズに世界で初めて挑戦した。
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また、ダ・ヴィンチが構想して実現しなかった建築設計案《集中式聖堂》と《大墳墓計画》、ミラノ宮廷の軍事技師として取り組んだ様々な武器や機械を、3DCGアニメーション映像と縮小模型で再現し展示している。
本展の開催の意義について、池上はこう語っている。「レオナルドは『万能の天才』とも呼ばれるのですが、天才として生まれた人はひとりもいません。多くのことや人に学んで、このような地位に立ったのです。子供たちが本展を見て勇気が湧き、自分たちの将来性を感じられることを願っています」。
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