今年逝去したファッション界のレジェンド、カール・ラガーフェルドが1965年から50年以上にわたってクリエイションに携わってきた、イタリア・ローマを代表するラグジュアリーブランド フェンディ(FENDI)。このメゾンのクラフトマンシップの重要性やハンドメイドの力を次世代へと伝え、クリエイションの世界を身近に感じてもらうことを目的した展覧会「フェンディ クラフ(FENDI CraFF)」が、東京・表参道のバツ アートギャラリーでスタートした。
本展は、2018年10月にフェンディの本拠地「イタリア文明宮」で開催されたもので、イタリア国外では今回が世界初開催。フェンディは、ラグジュアリーブランドで唯一自社にファーアトリエを擁するメゾンであり、今回はそのアトリエから職人たちが特別に来日。フェンディで受け継がれてきた技を間近で見ることができる。
会場の壁一面に展示されているのは、ニューヨークを拠点に現代のストリート・アート界で活躍する日本人アーティスト・AIKO(アイコ)らが手がけたグラフィティ・アート。このグラフィティ・アートをファーで表現した「ファータブレット」(ファーのパネル作品)も展示されており、フェンディの巧みな技を実感することができる(これは実際に触ることもできる)。
また会場でファーの職人たちは廃棄された材料を利用し、グラフィティアート作品 からインスピレーションを得た1点もののファータブレットを制作する。参加した職人のひとりは「(普段手がけているコートなどと違い)一つひとつのパーツが違うことに気を遣います。でもそこが面白いですね」と語る。「いつもはアトリエで黙々と作業をしているので、大勢の人に見られる今回の展覧会は緊張しますが、賑やかで楽しいです」。
今回のフェンディの取り組みは、若手のアーティストを後押しすると同時に、こうした若手職人たちにとっても新たな刺激を受ける場となっているようだ。
なお、会場では自身のポートレイトがファーグラフィティで表現される体験型のデジタルコンテンツも登場。様々な角度から、フェンディというメゾンを体験できる企画となっている。