会期中には、西脇隆俊京都府知事とのトークイベントも実施。池内は楽曲と絵画の制作の違いについて、「音楽は『時間の川』に身を投げ出す行為であり、油絵は『時間を止めて固定する』感覚」と語り、同じ創作でもまったく異なる脳の使い方をしていることを明かした。また、京都の文化土壌については、「歴史や伝統が若い表現の『光や水』になる」と述べ、古い建築や空間が創作の実験場として開かれていく未来への期待を示した。

さらに、バンド・Novelbrightのボーカルである竹中雄大とのトークイベントも実現。竹中が池内の新しいデモ音源を2時間のフライト中ずっと聴いていたというエピソードや、絵画作品について「音楽だけではなく、絵画の世界観も好みすぎてファンになった」と語る場面も印象的だった。ふたりは海外旅行を通して、土地の文化や空気を感じながら制作を行うこともあるという。

会場では、大型オブジェの設えのなかで来場者が撮影を楽しむ光景が広がり、音楽展示コーナーでは過去楽曲の未公開音源の視聴も可能になっている。音楽とは異なる静かな層から立ち上がってきた池内喜勝の絵画表現。それは、流れる時間ではなく、沈黙の中に定着する「もうひとつの創作」の現在地を示すものだったと言えそうだ。

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