自然と人の手が生み出す美。瑞雲庵で「生き続けるもの」展が開催へ

瑞雲庵で展覧会「生き続けるもの」が開催される。歴史ある空間で、素材と手仕事が融合した作品が展示され、人と自然がともにつくり出す新しい芸術のかたちを提示する。会期は10月25日〜11月24日。

辻大輝の作品

 公益財団法人西枝財団による「瑞雲庵における若手創造支援事業」の一環として、展覧会「生き続けるもの」が10月25日〜11月24日の会期で開催される。

 本展は、瑞雲庵という歴史的な空間を舞台に、人の手や自然物の特性を活かした作品を展示するもの。展覧会を企画したのは、関西の若手作家とともに様々な展覧会を手がけるなど、若手クリエイターの活動支援に力を入れている磨田花朗だ。

 今回の展覧会には、築山有城、北浦和也、鈴木大晴、森本菜南、辻大輝ら5名のアーティストが参加する。素材と人の手を通じて制作された作品は、瑞雲庵という空間が長年にわたって蓄積してきた変化と調和を反映し、人と自然が織り成す美の本質に迫る。

 例えば築山は、木材や金属など多様な素材を用い、素材と対話するように作品を制作する。その作品は、日常のなかに隠れた新たな発見を促し、物事を違う角度からとらえる視点を提供する。また、北浦は、木材を使用したユーモラスな彫刻で知られ、木の温もりを活かしながら、トーテムポールのように組み合わされた複数のモチーフを用いる独自のスタイルを展開している。

築山有城の作品
北浦和也の作品

 鈴木は、糸を自ら染め、手作業で織り上げた平面作品を展示する。その作品は、一本一本の糸に込められた手の感触が美しく、時間の流れや記憶を感じさせるものだ。森本は、動物の足やお尻などの部分に焦点を当てた陶芸作品を制作し、手で造形をコントロールしつつ、窯での焼成過程を自然に委ねる技法を駆使している。辻は、デジタルではなくアナログの手法にこだわり、映像という素材を人の力でどう変容させるかを探求するインスタレーション作品を発表している。

鈴木大晴の作品
森本菜南の作品
辻大輝の作品

 各アーティストが手掛ける作品と瑞雲庵の空間が相互に響き合い、人と自然が織り成す創造のプロセスが展覧会全体に広がる。瑞雲庵が持つ時間の流れと変容の美しさを背景に、素材と手作業が生み出す新しい表現の可能性を感じ取ってほしい。

編集部

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