京都の瑞雲庵で、エコロジーを思考する6人の日仏アーティストが集う展覧会「遍在、不死、メタモルフォーゼ」が開催されている。会期は5月26日まで。
本展は、大久保美紀のキュレーションのもと、ジャン=ルイ・ボワシエ、フロリアン・ガデン、クワクボリョウタ、石橋友也、入江早耶、古市牧子といった世代・表現領域の異なる6人のアーティストの作品を紹介するもの。人類の活動が地球全体へ深刻な影響を及ぼす「人新世」において、私たちはいかに人間中心主義を乗り越えられるのか。また、非人間存在を思いやり、地球環境に配慮するとはいかなることかを問う。
展覧会のタイトルは、イタリア人哲学者エマヌエーレ・コッチャの著書『メタモルフォーゼの哲学』に綴られた世界観、「あらゆる生はただ一つの同じ生」に由来している。あらゆる生は「メタモルフォーゼ」でつながれ、すべての私たちは異種混淆であり、過去・未来と地球上全体に拡がっている。「メタモルフォーゼ」はそれゆえ遍在であり不死である。
本展では、ジャン=ルイ・ボワシエの作品《Crassula ubiquiste》が日本で初展示。クラッスラは、植木鉢に挿木されたカネノナルキ群。30年ものあいだ、作家が世界各国で採取し、パリの自宅で育てており、本展では、ボワシエが昨年日本で新たに挿木した4つのカネノナルキを含む12点が展示される。
また、2021年に日本に移住したフランス人の美術家フロリアン・ガデンは日々の取り組みとして続ける絵画シリーズ「Visions lyriques」の新作を発表。私たちの現代生活における環境・取り巻くものとの関係の再考を促し、いかに新たな共生を築くことができるかを私たちに訴えるものになるという。
2000年代後半よりフランスに渡り、現在もフランスを拠点に活動している古市牧子は今回、水彩作品に加えてテキスタイルの作品を2点出品。そのほか、光と影による内的な体験を促すインスタレーションを制作し続けるクワクボリョウタ、金魚や漆、言語など自然と人為の境界に着目し、科学・テクノロジーの視点からそれらの性質、構造、歴史に迫る石橋友也、消しゴムでイメージを消して、でた消しカスを練り上げて彫像するという独特のアプローチを追究する入江早耶の作品を見ることもできる。