アーティスト志望の学生たちの登竜門として、毎年若き才能を見だしてきた老舗のアートコンペ「学展」。その69回目を迎えた同コンペの大賞を、小学2年生の大塚叶太による《時計の世界》が受賞した。
1950年10月、安井曾太郎、西田信一、猪熊弦一郎、林武、脇田和、鍋井克之、寺内萬治朗、須田国太郎氏の8人は、学生油絵の振興、作品の保存、学生絵画の国際交歓、文化の向上に寄与することを目的に、日本学生油絵会を設立。同会が「全日本学生油絵コンクール」として日本最初の学生油絵コンクール展を開催して以来、今日においても「学展」として、コンペと入賞作品の展覧会が毎年開催されている。
2016年より大賞受賞者には、パリ・ルーヴル美術館の地下で開催される「サロン・デ・ボザール」展に作品を展示する権利が与えられる。昨年12月、日本学生油絵会(学展)は在仏日本大使館による推薦で日本代表として同展に参加。150年以上の歴史がある同展の歴代出展者の中で8歳の出展者は史上最年少となったという。学展ゲストアーティストとして、俳優・フィルムメーカー・白黒写真家である齊藤工の作品《桜梅桃季》も展示された。
今回の受賞作のテーマについて大塚は、「僕は数字が好きなんです。数字が好きだから、時計も好きで。自分の好きなものを描きたいなと思いました」とし、「大賞を獲るとは思っていなかったからとてもうれしい。すごい有名な場所のパリで展示されるのもうれしい」とコメントしている。
今回の学展審査員を務めたのは、赤木曠児郎(SNBA名誉副会長・洋画家)、岩渕貞哉(美術手帖 総編集長)、七種諭(ギャラリーDa-End代表・写真家)、千原徹也(株式会社れもんらいふ代表・アートディレクター)、那須太郎(TARO NASU代表・岡山芸術交流2019総合ディレクター)、ヒロ杉山(Enlightenment代表・アーティスト)、ホンマタカシ(写真家)の7人。
このほか、今年の受賞作は益子遼祐《胎内仏》(外務大臣賞)、吉田礼央《窓(私の構成)》(特別奨励賞)、毛利修一郎《Nightmare》(入賞)など。大賞作品を含むこれらの受賞作品は、昨年11月28日〜12月8日に国立新美術館で展示された。