学生を対象としたアートコンペ「学展」は、初代会長・安井曾太郎らによって1950年10月に設立された日本でも老舗の賞だ。これまで60年以上にわたって、池田満寿夫をはじめとする、多くの才能あふれるアーティストの登龍門となってきた。
第67回となる今回の応募者は全部門で1548名。8月1日から4日にかけ、北千住のシアター1010で出品作品が一堂に展示され、10日から15日にかけては、ヒルトン東京の「新宿クリエーターズ・フェスタ」学展特別展で全入賞作品の展示が行われた。
その中からグランプリである「学展大賞」を受賞したのは、横浜市立神奈川中学校に通う、中学3年生の宍戸琴美が制作した《お父さん・58歳》だ。タイトルが示す通り、同作は作者の実際の父親を描いた作品。これまで、小学1年生の頃より学展に応募し続けてきたという宍戸は、今回が初めての入賞。そしていきなりの大賞受賞に本人は「賞は取りたいと思ってたので。すごくうれしいです」とコメント。緻密に描かれた画面には、普段は言えない父親への感謝の気持ちが込められているという。受験勉強の合間に制作されたという同作は今後、渋谷芸術祭2017やパリ・ルーヴル美術館内のLE CARROUSEL DU LOUVREで展示される予定となっている。
なお、このほかの受賞者は遠藤江里子《祖父への贈り物》(特別奨励賞)、星拓実《蛙パーティ》(優秀賞)、露木七海《美術室》(同)、川上泰子《笑顔》(同)、木下湧太《ぼく》(同)、渡部純央《不屈》(土方審査員賞)、稲田直樹《仲間》(須山審査員賞)、小倉新叶《スィフィンクス星》(杉山審査員賞)、飯澤光《自然と暮らす人間》(岩渕審査員賞)、小野田侑真《かくれんぼ》(千原審査員賞)。