石油の枯渇で廃れていく都市を撮影。田凱の写真展「生きてそこにいて」がガーディアン・ガーデンで開催

第19回写真「1_WALL」でグランプリを獲得した田凱(でん・がい)の個展「生きてそこにいて」が、東京・銀座のガーディアン・ガーデンにて開催される。会期は7月23日〜8月24日。また7月31日には、美術批評家・沢山遼とのトークイベント「人はみな孤島であろう」も行われる。

田凱 An European Style Sculpture on the Field

 かつて石油の産出で栄えた町が石油の産出量の低下とともに廃れていく光景と、そこで生活する人物を撮影した作品《生きてそこにいて》。35歳以下を対象としたコンペティション、第19回写真「1_WALL」(2018年開催)で本作を発表し、グランプリを受賞した田凱(でん・がい)の個展「生きてそこにいて」が、東京・銀座のガーディアン・ガーデンで行われる。

 田凱は1984年中国生まれ、2006年来日。日本写真芸術専門学校フォトクリティックゼミ卒業後、作品制作に取り組みながら、コマーシャルの仕事を東京、上海で行う。「2014年度ヤング・ポートフォリオ展」に出品し、清里フォトアートミュージアムに作品が収蔵されている。現在、東京都在住。

田凱 Abandoned Living Quarters
田凱 New Wedding Couple

 本展では、グランプリ受賞作品に新たに撮影した写真を加え、再構成して展示。 荒涼とした風景の中に佇む西洋風の彫刻、人気のない建物、新婚カップルのポートレイト、ベッドに腰掛ける青年の後ろ姿、そして故郷が少しずつ変化していく様子を、田は5年間にわたり、断続的に撮影し続けてきた。

 被写体から一定の距離感を保つように撮影された写真たちは、 ある限定された都市の記録に留まらず、普遍的な故郷の姿を映し出し郷愁を誘う。いっぽうでは、盛衰を繰り返す世界のあり方を表現しているとも言えるだろう。

田凱 Weiwei at his house

 審査員からは芸術性の高いドキュメンタリー写真として高く評価された本作は、1年を経てどのような変化を見せているのか。会期中の7月31日には美術批評家の沢山遼をゲストに迎え、 現代美術の観点から本展を掘り下げたトークも行われるため、展覧会とあわせてチェックしてほしい。

田凱 Yuan's Portrait

編集部

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