白眉となるのは、石川の現代アートギャラリー・ルンパルンパだろう。これまで実験的な場を数多く企画してきたルンパルンパ。今回は、REVOLVE COLLECTIVEによる《Anthropocene Relic 2025:人新世遺物 2025 ─回転する器の溶解地層─》で勝負をかけた。
本作は、DJプレイで実際に使用したレコードを焼成。レコードを釉薬に見立て、器の表面に焼き付けるというこれまでにない手法で生み出された作品群。音楽の体験をそのままセラミック作品に落とし込むというユニークな発想だ。会場では実際にDJがレコード盤の上で作陶しており、音も楽しむことができる。


「工芸」と一言で括っても、その表現はじつに多様だ。茶碗や湯呑みといった機能を持つものから、オブジェ、あるいはインスタレーションまで、工芸がもつ可能性は幅広い。本フェアは、そうした工芸の多様性と可能性を身近なかたちでプレゼンテーションする場として、大きな役割を担っている。
ますます工芸への注目度が高まるなか、今後のフェアのさらなる発展にも期待したい。
なお、本フェアでは上述したMUFG工芸プロジェクトによるラウンジ「MUFG Lounge」が開設されており、作品展示とともに、様々な作家の陶器でドリンクを楽しむこともできる。見る・買うだけでなく、実際に工芸を使う楽しみを味わってみてはいかだろうか。



















