「ART FAIR ASIA FUKUOKA 2025」開幕レポート。10年続くアートフェアの舞台裏とは?【2/3ページ】

 会場入り口付近では、「アジア」「福岡」にゆかりある著名なアーティストを取り上げる「Future」ブースが存在感を放っている。今年の“AFAFの顔”となったのは、自身のルーツであるアカ族をテーマに絵画制作を行う、タイ・チェンライ在住のブスイ・アジョウ。そして、福岡県出身で八女市を拠点に活動を続ける牛島智子だ。

「Future」ブース

 その隣に位置するのは、世界的なアートコレクターとして知られる宮津大輔がアジアの現代アートシーンを牽引するアーティストたちを紹介する「Leading Asia」のブースだ。今年は「Soaring!(飛翔)」をテーマに、アジア各所で活躍する5名のアーティストの作品が紹介されている。

「Leading Asia」ブース

 昨年度より始まった「Masters」と「First Collection」の2ブースは、アートに初めて触れる人にも楽しんでほしいという同フェアの姿勢を端的に示している。美術館さながらに巨匠の作品が並ぶ「Masters」ブースには、昨年同フェア最高史上額である14億円で出品されたアンリ・マティスに引き続き、今年は同額の14億円でパブロ・ピカソ《Tête de femme(女性の頭)》が、そして1320万円のアンディ・ウォーホル《chicken ’n dumplings》が目玉作品としてお披露目された。ほかにも、1760万円の奈良美智《After the Acid Rain》、1232万円の草間彌生《七色の富士ー永遠に輝く我が命、この人間愛は何億光年も滅びる事はない》、1100万円の黒田清輝《春》、1980万円の千住博《水路》などがラインナップされている。ただ、名だたるアーティスト17名の作品が一堂に会しているにしては、ややスペースが手狭に感じられるのがもったいないところだ。

「Masters」ブース
「Masters」ブース

 隣のブース「First Collection」は、注目の若手アーティストらによる作品を10万円以内の価格で販売。アート作品のコレクションに関心を持つ、ビギナー向けのラインナップと価格設定が魅力のひとつだ。

「First Collection」ブース

 ほかにも「Special Booth」では、福岡産の八女茶を使用したお茶とアートのキュレーテッド・スペース「SOLACHA(宙茶)」が異彩を放っていた。このユニークな体験は他のアートフェアでは味わえない(事前予約制)。

「AFAF Special Booth」より。緑川雄太郎が来場者にお茶を振る舞う

編集部