「ART FAIR ASIA FUKUOKA 2024」開幕レポート。アートフェアが独自色を持つ必要性とは?【2/2ページ】

大規模ではないフェアが必要な理由

 AFAFはこれからアート作品を買いたいという層にもリーチできるような価格帯・サイズの作品からMastersのような名品までが幅広いレンジで並ぶフェアであり、初日オープン直後から多くの人々で賑わいを見せていた。

 初回から出展しているKOKI ARTS代表の石橋高基は、「来場者は着実に増えている。地方だからこそ、コレクターのポテンシャルも大きい」としつつ、「AFAFは九州で様々なアートを見るいい機会になっており、東京からの呼水にもなる。今後はさらに多くの海外ギャラリーも参加し、交流が生まれれば」とさらなる発展に期待を寄せる。

KOKI ARTSブースより、Ylva Carlgrenの作品

 また宮津の言葉も印象的だ。いま、アジアではアート・バーゼル香港を筆頭に、フリーズ・ソウル、KIAF、台北當代(タイペイダンダイ)、アートフェア東京、Tokyo Gendai、Art Collaboration Kyotoなど、多くの巨大フェアが存在する。そんななか、AFAFの立ち位置はどこにあるのか? 宮津はこう語る。「アート・バーゼルやフリーズなの大型フェアだけでなく、いまは中規模で独自性を持つフェアが重要。AFAFは日本、アジア、世界のなかで独自性のあるフェアとして残っていきたい。ほかとは異なる魅力を持つことで、日本や海外のコレクターに楽しんでもらえるように舵を切っている」。

 また東京画廊+BTAP代表の山本豊津も、「地方が小規模なアートフェアを行うことに賛成したい。実際にものを見て、比較すると、自ずと好きなものが1点は見つかる。(AFAFのようなフェアは)コレクターにとって、バーゼルやフリーズにつながるステップとして機能する」とその必要性を説く。

 1年のアートカレンダーがフェアで次々と埋まるような「アートフェア群雄割拠時代」のいま、AFAFにはさらなるユニークな進化が期待される。

編集部

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