フィリップス・ニューヨークで、トリトン・コレクション財団から30点の作品を出品するイブニング・セールが11月14日に開催される。
トリトン・コレクション財団は、19世紀〜21世紀を代表するアーティストの前衛的で優れた作品群を収集していることで高い評価を得ている。今回のセールには、パブロ・ピカソの《Femme en corset lisant un livre》(1914-17)やジョルジュ・ブラックの《La bouteille de Bass》(1911-12頃)、ジョアン・ミッチェルの《Untitled》(1954頃)など、印象派から近代、戦後美術のムーブメントを決定づけた数々の作品に加え、フェルナン・レジェの《Le 14 juillet》(1912-13)も目玉作品として出品される。
レジェの《Le 14 juillet》(推定価格1500万〜2000万ドル/約22億5700万〜30億円)は、表面にフランスの国祭日をキュビスム的に解釈した《Le 14 juillet》と、裏面に描かれた「Fumées sur les toits」シリーズの作品といった2つの絵から構成されるもの。とくに裏面の作品は、修復不可能なほど傷んでいると思われ、何年ものあいだ隠されていた。保存修復師たちの懸命な努力により、同財団はこの絵の修復が完了し、昨年は初めてオランダのクレラー・ミュラー美術館で一般公開された。
また、ブラックの《La bouteille de Bass》(推定価格700万〜1000万ドル/約10億5300万〜15億円)は、ピカソとブラックがもっとも緊密な共同作業を行っていた時期の作品であり、ブラックはその時期を「2人の登山家がロープでつながれているようだ」と形容している。ピカソの《Femme en corset lisant un livre》(推定価格1500万〜2000万ドル/約22億5700万〜30億円)は、ブラックの初期の作品と対をなす作品であり、先鋭的な実験の集中的な時期におけるピカソのスタイルの進化を示している。
そのほか、アーティスト・エステートから直接同財団に寄贈された抽象表現主義画家ジョアン・ミッチェルの初期作品《Untitled》(推定価格400万〜600万ドル/約6億〜9億円)や、アムステルダムのゴッホ美術館に⻑期貸与されているエドガー・ドガの《Le petit déjeuner après le bain》(推定価格250万〜350万ドル/約3億7600万〜5億2700万円)、近年のオークションで評価が高まっているナビ派の画家ポール・セリュジエの《La Cueillette des pommes》などもラインナップされている。
フィリップスの米州社⻑ジャン=ポール・エンゲレンは、声明文で次のようにコメントしている。「トリトン・コレクション財団が過去30年にわたり示してきた収集に対する見識と献身は、言い尽くすことができない。彼らは、自らの仕事と使命に真に情熱を注いだときに達成できることを示す金字塔のような存在だ」。