フィリップス・ロンドンのエディション部門が、デイヴィッド・ホックニーに特化したオークションを9月20日に開催する。
同社は、昨年9月にもホックニーの単独オークションを開催し、「並々ならぬ反響」を得たという。ヨーロッパ・エディション部門の責任者であるロバート・ケナンは声明文で、「ホックニーが生涯を通じて様々な媒体で制作した幅広い作品に対する需要は非常に大きい」としつつ、今回のような単独オークションを行うことで「私たちのコミュニティーに応え、グローバルなコレクターとのより良い関係を築くことができる」と述べている。
今回のセールでは、1000ポンドの入門レベルの作品から25万ポンド以上の高額作品まで、様々な価格帯でのホックニー作品が出品。例えば、10代のホックニーが制作したリトグラフ2点《Woman With A Sewing Machine》(予想落札価格1万〜1万5000ポンド)《Fish and Chip Shop》(1万5000〜2万ポンド)や、象徴的なプールの構図でつくられた《Lithographic Water Made of Lines, Crayon, and Two Blue Washes》(8万〜12万ポンド)、近年iPadを使ってつくられたドローイングなどがラインナップされている。
現在85歳のデイヴィッド・ホックニーは、今年世界中に様々な展覧会を開催。ニューヨークとパームビーチのペース・ギャラリーで行われた個展のほか、現在ロンドンの没入型アートスペース「Lightroom」で開催中の展覧会や、日本では27年ぶりになる東京都現代美術館での大回顧展、11月にロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリーで行われるホックニーの肖像画に焦点を当てた回顧展なども予定されている。
フィリップスは、2020年にホックニーの風景画大作《ニコルズ・キャニオン》(1980)を約4100万ドルで競売。また、ホックニーのオークションレコードは2018年にクリスティーズで落札された《芸術家の肖像画―プールと2人の人物―》(1972)の9031万ドルであり、これは現存画家としてのオークションレコードでもある。
ホックニーの作品収集についてフィリップスは声明文で次のようにコメントしている。「アーティストの作品が発展するにつれ、私たちの関心も高まり、ホックニーの作品を求めるコレクターは増加の一途をたどっている。あらゆるジャンル、あらゆる世代のアートコレクターが、ホックニーの進化し続けるコンセプトへの関心を示している」。