サザビーズ、クリスティーズといったオークション大手が記録的な数字を創出した今年、フィリップスも年間売上高を発表。13億ドル(約1724億円)という同社史上最高の数字だ。
この結果は、昨年と比べて約20パーセント増。そのうちオークションによる売上高は10億ドル以上、プライベートセールによる売上高は2億5000万ドル以上と予想されている。
5月のニューヨークのイブニングセールで前澤友作によって出品されたバスキアの大作《Untitled》(1982)が8500万ドルで落札され、同社史上最高額の作品となった。同セールにて約2000万ドルで落札されたイヴ・クラインの《Relief Éponge bleu sans titre(RE 49)》(1961)と、11月にニューヨークにて4164万ドルで落札されたサイ・トゥオンブリーの《Untitled》(2005)に加え、同社史上最高額のトップ3はすべて今年のセールで実現したものだ。
新進気鋭のアーティストの登竜門としても評価されるフィリップス。今年は148人の作家がオークションデビューを果たした。モダンアートにおいては、今年の落札数は50パーセント増加し、平均ロットの価格も150パーセント上昇した。とくにマルク・シャガールの《Le Père》は740万ドルという、同作家の初期作品としては最高額で落札された。
アジアのバイヤーによる売上高は、今年の総額の約3分の1を占めている。今年11月に中国の永楽(ヨンレ)オークションと提携したセールでは、ゲルハルト・リヒターの《Abstraktes Bild(774-1)》(1992)が8900万香港ドル(1140万米ドル)で落札され、同月に香港で開催されたオークションにおいては最高の数字を記録した。
また2023年春、同社は香港・西九龍文化地区にアジアの新本社をオープン。アート・バーゼル香港の開催に合わせて3月に20世紀と現代美術の展示を行い、4月上旬にはオークションを開催する予定だ。
同社CEOのスティーブン・ブルックスは声明文で、今年は同社が著しい成長を遂げているなか、各部門においてもその勢いを感じされる一年だったとしつつ、今回の結果は「マーケットの堅調さと、そのなかで当社の強みが発揮できた証拠だ」とコメントしている。