「アートフェア東京」や「art stage OSAKA」などを展開する一般社団法人 アート東京(代表理事:來住尚彦)。同財団が2019年から京都で開催しているアートフェア「artKYOTO」が今年で5年目を迎えた。会期は10月6日〜9日(5日および7日は関係者向けの特別内覧会)。
会場となるのは、京都を代表する観光地である世界遺産・二条城。同フェアでは二条城内にある「二の丸御殿台所・御清所/番所/東南隅櫓」の3ヶ所を使用。古美術から工芸、現代美術までを幅広くラインナップするのが特徴だ。
來住は同フェアについて、「観光客の多い時期の開催であり、京都市の期待の証だ。京都でアートフェアをやる意義はこのユニークベニューにある。日本の魅力をアートを通じて発信できれば」と意気込みを見せている。
メインとなる「二の丸御殿台所・御清所」は、縦横に掛かる力強い梁が印象的な展示エリア。ここでは20ギャラリーが様々なジャンルの作品のプレゼンテーションを見せる。
エントランス正面にブースを構える「谷松屋戸田」は、江戸中期から続く茶道具商。「古窯 -Old kilns of Medieval Japan-」をテーマに、現代の視点から日本の優れた古陶磁を出品しており、平安から室町時代の古陶器は強い存在感を放つ。
具体美術協会(具体)の作品を中心に、若手作家も扱う「鳩ノ森美術」は、京都にアトリエを構え、具体の最後のメンバーとしていまなお精力的に活動する森内敬子の最新作をプレゼンテーション。また戦後抽象美術と児童美術をかけあわせた宮脇公実の作品なども見ることができる。
日本の若手作家と国際的な作家を紹介し続ける「GALLERY SIDE 2」は、韓国出身のジャエ・ヨング・リーの写真作品を展示。青磁を動かしながら長時間露光で撮影した作品は顔料でプリントされており、独特の質感を見せる。
今年から会場として使用される「番所」は、東大手門を入ってすぐにある、かつて二条城の警備に当たっていた武士の詰所だ。ここには鎌倉に店を構える「瀧屋美術」が出展。20世紀後期のイギリスを拠点に活動した陶芸家ルーシー・リーから、木漆工芸の人間国宝・黒田辰秋、ものを布で包んでいるような緊張と緩和を同時に内包するセラミックの作品で国内外から高い評価を受ける田中悠まで、バリエーション豊かなプレゼンテーションとなっている。
「東南隅櫓」では、日本インドネシア国交樹立65周年記念企画としてインドネシアのギャラリー「Gajah Gallery」と「msalman gallery」が出展。ジョグジャカルタにもギャラリーを構え、アジア地域のアーティストの国際的な重要性をプレゼンテーションし続けるGajah Galleryは、日本の建築にインスピレーションを受けセメントによって建築的なモチーフを描くマレーシアのケイリー・ゴーらを紹介している。
また、京都のギャラリー「GALLERY TOMO」は、「痕跡のビオトープ」をテーマに篠原猛史と藤田薫の2作家を紹介。アート・インスティテューション「KYOTO INTERCHANGE」は金氏徹平や手塚愛子らのプレゼンテーションを展開するなど、個性的なブースが並ぶ。
観光客も戻り、賑わいを見せる京都。二条城というユニークベニューで作品を購入するという体験は得難いものだろう。これまでよりもパワーアップしたartKYOTOに注目だ。