先週、2022年の総売上高を発表したサザビーズに続き、クリスティーズもその結果を発表した。
今年、クリスティーズは「美術品市場史上最高」という84億ドル(約1兆1121億円)の総売上高を記録し、昨年と比べて17パーセント増加している。ポンド換算では70億ポンド、香港ドル換算では681億香港ドルで、それぞれ34パーセント増と22パーセント増となっている。
11月にクリスティーズ・ニューヨークで開催された慈善家ポール・G・アレンのコレクションセールは、合計16億2千万ドルの売上高を達成し、オークションに出品された個人コレクションとしては史上最高額を記録。同セールでは、5点の作品がそれぞれ1億ドル以上の価格で落札され、27人のアーティストのオークションレコードを更新した。
5月、ニューヨークのオークションではアンディ・ウォーホルの《Shot Sage Blue Marilyn》が1億9504万ドル(約253億円)で落札。オークション史上2番目の高額、20世紀の作品としては史上最高額を記録した。
また、今年のオークションで落札された上位10作品のうち、8作品はクリスティーズで取引されたもの。今年のトップ3のコレクションは、上述のポール・G・アレン・コレクションに加え、トーマス・アンド・ドリス・アマン・コレクション(3億5920万ドル)とアン・ヘンドリックス・バス・コレクション(3億6310万ドル)も同社で落札された。
これらの記録的な落札結果のかげで、アメリカ大陸は今年半数以上の売上高を占める45億5000万ドルを記録し、昨年比で73パーセント増。ヨーロッパ、中東およびアフリカ地域(EMEA)は3パーセント増の18億ドルを達成し、アジア太平洋地域(APAC)の数字は20パーセント減の8億3300万ドルとなった。
APAC地域の売上減について、クリスティーズAPAC社長のフランシス・ベリンは12月19日に行われたオンライン記者会見で、「今年は昨年と比べると少し減少しているが、まだ3番目に高い数字を記録しており、良い年だったと思う」と話す。同地域のバイヤーによる購入額は10パーセント増の18億ドルとなり、2015年以降で最高の数字となったという。
また、クリスティーズCEOのギヨーム・セルッティは、ミレニアル世代のバイヤーの重要性を強調する。
セルッティによれば、今年、ミレニアル世代のバイヤーは世界中のバイヤーの21パーセント、新規バイヤーの34パーセントを占めている。また、ミレニアル世代の新規バイヤーの4割がアジア出身であり、APACはミレニアル世代のバイヤーにとってもっとも発展の速い地域となっている。
現代美術のカテゴリーにおいて、ミレニアル世代のバイヤーによる購入額は1億7200万ドルにおよび、同カテゴリーにおける世界中の売上高の10パーセントを占めている。また、現代美術のライブおよびオンラインオークションにおける入札者/購入者の81パーセントも、ミレニアル世代のバイヤーだったという。
今年の結果について、セルッティは次のようにコメントしている。「2022年、厳しいマクロ環境にもかかわらず、クリスティスは過去最高の世界売上高を達成した。これは、アートとラグジュアリー市場の回復力、忘れられないポール・アレン氏の売却を含むいくつかの主要なアートコレクションの目覚しい成功、そして世界中のクリスティーズのチームの専門知識と努力によるものだ」。