2021年、クリスティーズが約71億ドル(約8070億円)の総売上高を達成と発表した。この数字は過去5年間の最高額であり、コロナ禍以前の19年比で22パーセント増。コロナ禍が始まった20年比では54パーセント増となる。
パブリックオークションによる売上高は約54億ドル(約6140億円)で、落札率は87パーセント。今年のオークションで落札された最高額の2作品であるピカソの《Femme assise près d'une fenêtre (Marie-Therese)》(1億340万ドル)とバスキアの《In This Case》(9310万ドル)も、同社のオークションで落札されている。
プライベートセールによる売上高は約17億ドル(約1930億円)。前年比で12パーセント増、19年比で108パーセント増となっており、5000万ドル以上の作品4点がプライベートセールで取引されている。
コロナ禍の影響が続くなか、オンラインオークションの売上高は引き続き増加。今年は、前年比43パーセント増の4億4500万ドル(約506億円)を達成し、クリスティーズのオークションの半数近くがオンラインで行われている状況だ。
今年のアートマーケットを語るうえで欠かせないNFTセールでは、3月に約6930万ドルで落札されたBeepleのNFT作品をはじめ、クリスティーズでは100点以上のNFT作品が落札され、合計約1億5000万ドル(約171億円)の売上高を記録した。NFTの入札者の75パーセントは新規入札者で、平均年齢は42歳だという。
地域別ではアジア地域での売上高は19年比で32パーセント増の約16億8000万ドル(約1910億円)。上半期の売上高全体の39パーセント、通年では31パーセントを占めた。クリスティーズは24年に香港にあるアジア太平洋地域の本社を拡張し、22年春に上海本社を移転するなど、アジアでの存在感をますます拡大している。
クリスティーズのCEOギヨーム・セルッティは声明文で、「2021年の業績には満足している。クリスティーズは、オークションやプライベートセールの結果が非常に優れているだけでなく、とくにNFTのような新しい販売形式やカテゴリーで躍進を遂げた」とし、「アジアへの重要な投資や、2030年までにカーボン・ネット・ゼロを達成すること、より公平で多様性のある企業像を構築・維持することなど、その他の優先事項においても大きな進展があった。2022年は引き続き、成長、革新、責任を最優先していく」」とコメントしている。