フランス最古のアートフェア「FIAC」が長年会場としてきたパリのグラン・パレ。この場所を、世界最大のアートフェアを擁するMCHグループが奪取した。
MCHは「アート・バーゼル」シリーズを世界3都市で展開するアートフェアの“王者”。今年1月、公募により同グループが今後7年間にわたりグラン・パレでフェアを開催することが報じられた。FIACの主催者であるRXフランス社が法的措置をとる可能性も囁かれたが、MCHは着々と新たなフェアの準備を進めている。
パリで開催される新たなフェアの名前は「Paris+」。初回は今年10月20日から23日まで、グラン・パレ・エフェメールで開催される(グラン・パレは2024年まで改修工事中)。
バーゼル側は今回の名称について、「文化の中心地であるパリを称え、ファッション、デザイン、映画、音楽などの文化産業間のダイナミックな対話に焦点を当て、パリ全体を輝かせる旗艦イベントを創造するというアート・バーゼルの意欲」を反映したものだとリリースで説明。パリに新設されるチームが指揮を執り、地元のギャラリーや美術館と連携しながらフェアの開催を目指すとしている。
「Paris+」のディレクターを務めるのは、若手ギャラリーや新進アーティストを紹介するフェア「Paris Internationale」の前共同ディレクターであるクレマン・ドゥレピーヌ。長年FIACのディレクターを務めたジェニファー・フレイも、23年3月にアドバイザリーボード・プレジデントとしてチームに参加する予定だという。
ドゥレピーヌは声明のなかで、「パリのギャラリー、施設、クリエイティブ、文化産業のエコシステム全体と協力し、パリと世界を魅了するイベントをつくり上げることを楽しみにしている」とコメント。またアート・バーゼルのグローバルディレクターであるマーク・シュピーグラーは「(パリチームの)幅広い経験と視点により、文化の都としてのパリの比類なき遺産と、現代文化の交差点としてのパリの位置づけを生かした、強力なプレミア・エディションをこの秋にお届けできると確信している」としている。