日本の不在が目立つも、多様なラインナップ
パリに、芸術の秋が戻ってきた。昨年10月の開催中止後、今年3月のFIACオンライン・ビューイング・ルーム(OVR)のローンチを経て、フランス国内外25カ国から171ギャラリーが参加。精選された近現代アートとデザイン、マルチプルを含む数えきれない数の作品が出展された。
会場は、国立美術館連合が運営するグラン・パレの改修中、臨時施設としてエッフェル塔のあるシャン・ド・マルス界隈に立てられた「グラン・パレ・エフェメール」(約1万平米)と、その4割減の室内面積を一部補うためにFIACが塔に向かって白いテントを拡張した「エッフェル・ギャラリー」。日本の不在が目立つ(オンサイト参加は小山登美夫ギャラリーのみ)が、9月に開催されたアート・バーゼルに比べ、アメリカやイギリスからの来場者がだいぶ増えたようだ。
FIACは本人も伝説的ギャラリストだったジェニファー・フレイの指揮で有名だが、一部常連ギャラリーの拠点国の状況が未だ流動的ななか、例年とは異なる多様なラインナップとなった。アフリカ、中南米、アジアの表現やその紹介はより重層的になり、コレクターの関心をますます引いたように感じられた。また、環境との調和に敏感なアーティストの自然や生物形態学へのあらたな傾注、ジェンダーに疑問を投げかける作品の幅もさらに広がってきている。