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公私が協力する文化的エコシステムを目指して。フランス最大のアートフェア「FIAC」から見る最新の市場動向

第47回となるフランスで最大の国際現代アート見本市「FIAC」が10月21日から24日まで、エッフェル塔にほど近い「グラン・パレ・エフェメール」で開催された。パリのアート市場の動向と合わせて注目のブースと作品を紹介する。

文=飯田真実

FIAC2021会場(グラン・パレ・エフェメール)正面。背面からはエッフェル塔が臨める。ジャン・ミシェル・ヴィルモット設計、グラン・パレの形を模した44の弧を描く木製のユニットとそれを包む布からなり、完全リサイクルが可能とのこと 撮影=筆者

日本の不在が目立つも、多様なラインナップ

 パリに、芸術の秋が戻ってきた。昨年10月の開催中止後、今年3月のFIACオンライン・ビューイング・ルーム(OVR)のローンチを経て、フランス国内外25カ国から171ギャラリーが参加。精選された近現代アートとデザイン、マルチプルを含む数えきれない数の作品が出展された。 

 会場は、国立美術館連合が運営するグラン・パレの改修中、臨時施設としてエッフェル塔のあるシャン・ド・マルス界隈に立てられた「グラン・パレ・エフェメール」(約1万平米)と、その4割減の室内面積を一部補うためにFIACが塔に向かって白いテントを拡張した「エッフェル・ギャラリー」。日本の不在が目立つ(オンサイト参加は小山登美夫ギャラリーのみ)が、9月に開催されたアート・バーゼルに比べ、アメリカやイギリスからの来場者がだいぶ増えたようだ。

 FIACは本人も伝説的ギャラリストだったジェニファー・フレイの指揮で有名だが、一部常連ギャラリーの拠点国の状況が未だ流動的ななか、例年とは異なる多様なラインナップとなった。アフリカ、中南米、アジアの表現やその紹介はより重層的になり、コレクターの関心をますます引いたように感じられた。また、環境との調和に敏感なアーティストの自然や生物形態学へのあらたな傾注、ジェンダーに疑問を投げかける作品の幅もさらに広がってきている。

グラン・パレ・エフェメール上空からの様子。2024年にパリで開催されるオリンピックおよびパラリンピックで予定されている一部競技の会場ともなる予定 Grand Palais Ephémère - 2021 - (c) Wilmotte et Associés
グラン・パレ・エフェメールに出展するギャラリーの様子 FIAC - 2021 - Photo: Marc Domage

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