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フィリップス、2020年の総売上高は約812億円。アジア市場は大幅に成長

世界三大オークションハウスのひとつであるフィリップスが2020年、7億6040万ドル(約812億円)の総売上高を記録。アジア市場では大幅な成長を遂げており、昨年同社香港のオークションに出品された日本人作家の作品は100パーセント落札された。

2020年に開催されたフィリップスのオークションの様子 (C) Thomas De Cruz Media Haydon Perrior

 世界三大オークションハウスのひとつであるフィリップスが、2020年の総売上高が7億6040万ドル(約812億円)であることを発表した。そのうちオークションの売上高は6億4800万ドルを超えており、プライベートセールの売上高は1億1320万ドルとなっている。

 新型コロナウイルスの影響により同社は昨年、アートを売買するための新しいデジタルオークション「GalleryOne」を発表。オークションをオンラインにアップロードすることで、従来のオークションカレンダーにとらわれず7日間入札ができるようになった。また、即時購入可能な高品質ジュエリーを提供する新しいオンラインサイトである「Flawless」の立ち上げや、テクノロジーに関するスタートアップ「Articker」との連携など、デジタルの面においては様々な取り組みを行った。

 これにより、同社アプリのダウンロード率は254パーセント増加し、新規オンラインアカウント増加率やウェブサイトへの新規訪問者数もそれぞれ136パーセントと62パーセント増加。とくにアジアでのオンライン販売率は635パーセント増加している。

2020年に開催されたフィリップスのオンラインオークションの様子 (C) Mediakite and Thomas De Cruz Media Haydon Perrior

 昨年でアジア参入5周年となった同社は、アジアでの大幅な成長を遂げた。香港でのオークション売上高は1億5200万ドルとなり、前年比24パーセント以上増加。この数字は、同社の同地域における過去最高額となった。また、世界中のオークションにかけられた上位10作品の半数は、アジアのコレクターにより落札されたという。

 同じく注目すべきなのは、日本人アーティストへの関心の向上だ。戦後のアバンギャルドなアーティストから若いコンテンポラリーアーティストまで、昨年同社香港のオークションに出品された日本人作家の作品は100パーセントの落札率となった。奈良美智の《Hothouse Doll》は1億300万香港ドル(約14億円)で落札され、アーティストのオークション記録第2位となったいっぽうで、加藤泉や塩田千春、井田幸昌、ミヤ・アンドウなど複数の日本人作家はオークション記録を更新した。

2020年にフィリップス香港で開催されたオークションの様子 (C) Thomas De Cruz Media Haydon Perrior

 そのほか、フィリップスは世界中に存在する実店舗の強化にも引き続き取り組んでいる。昨年8月、ニューヨーク・サウサンプトンにある旧サウサンプトン市庁舎を改築した新しいビューイングスペースを発表し、今年は新しいニューヨーク本社の設立や、常設作品を飾るスペースをロサンゼルスにオープンすることも予定している。

フィリップス・サウサンプトンの外観 (C) Mike VitelliBFA.com

 同社最高経営責任者のエドワード・ドルマンは声明文で次のようにコメントしている。「いままでにない変化が必要とされたこの年、フィリップスは、全カテゴリーと各地域で高い評価を得るとともに、数々の桁外れな売上を達成し、2020年を終えられたことを嬉しく思います。この成果は、グローバルなコレクターの傾向と意向を反映し、数ではなく品質にフォーカスを置き、焦点を絞ったオークションを組み立てることで可能となりました」。

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