新型コロナウイルスがオークション市場に与えた影響について、アートマーケットの分析会社「ArtTactic」が、2020年のオークション市場の分析レポートを発表した。
同レポートによると、サザビーズ、クリスティーズ、フィリップスといった3大オークションハウスは昨年、74億1000万ドルの売上高を記録。前年比で約26パーセントの減少にとどまった。
そのうち、下落幅のもっとも大きいのがクリスティーズだ。同社のパブリックオークションによる売上高は19年の49億4000万ドルから38.5パーセント減少し、30億3000万ドルとなった。市場シェアも、19年の1位であった49.4パーセントから40.9パーセントまでに低下した。
いっぽう、オンラインへの移行がもっとも迅速だったサザビーズの売上高は、19年の数字から13.7パーセント減の43億3000万ドルとなったが、その市場シェアは43.3パーセントから50.4パーセントに上昇し、市場1位へと成長した。
セールの延期やキャンセルにより、20年第2四半期においては3大オークションハウスの売上高は、前年同期比で77パーセント急落。いっぽうで、オンライン・オークションへの移行やセールの延期などによって、20年下半期の売上高は前年同期比で30.1パーセント増加し、55億9000万ドルに押し上がった。
また地域別に見ると、香港はロンドンを抜いてオークション市場の世界第2位となり、その市場シェアは19年の17.5パーセントから23.1パーセントへと成長。第1位のニューヨークは48.9パーセントから41.5パーセントに低下するとともに、ロンドンはコロナやEU離退の影響で22.7パーセントまでに下落した。
そのほか、昨年出品された作品のうち、印象派の作品はわずか3パーセントで、近代、戦後と現代の作品は、それぞれ35パーセントと57パーセントを占めた。また、宝飾品、時計、高級ワイン、自動車などもオンライン・オークションの成功により、その売上高は3.3パーセントの減少にとどまった。