2017.10.3

滋賀の「新生美術館」、入札不落で2020年3月の開館は困難に

現在休館中の滋賀県立近代美術館をリニューアルして開館する「新生美術館」について、落札業者が出なかったため当初予定されていた、2020年3月の開館が困難になったことがわかった。

「新生美術館」エントランスロビー2(SANAAによる現行の設計イメージ)
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 滋賀県立近代美術館は1984年8月に開館した、滋賀県内唯一の公立美術館。同館では妹島和世と西沢立衛によるユニット「SANAA」の設計のもと、既存の建物改修と新棟建設による「新生美術館」(呼称、正式名称は今後決定)が計画され、2020年3月開館を目指してきた。

 しかしながら、今年5月31日に公告され、8月28日に開札された建築工事の一般競争入札は、いずれも予定価格を超え入札不落となり、20年3月の開館が困難な状況になったという。9月25日に行われた県議会での答弁で、三日月大造知事はこの事態について「大変残念」としながら、「早期の美術館開館に向けて取り組みを進める」と説明。不落の原因については「東京五輪関連工事が今後繁忙期に入るため、技能労働者の確保が難しく、また美術館特有の特殊な製作品の入手が困難なことから、県の予定価格と応札価格に相違が生じた」とし、再入札条件や設計自体の変更にも言及している。

「新生美術館」展示室7(SANAAによる現行の設計イメージ)

 同美術館は、改修・増築によって、これまでの「近・現代美術のコレクション」に加え、滋賀県立琵琶湖文化館から引き継ぐ「神と仏の美」、そして「アール・ブリュット」を作品収集・保管・展示の柱にすることが決まっており、今後の行方に注目が集まる。

「新生美術館」俯瞰パース(SANAAによる現行の設計イメージ)