中核となる展示棟であり、旧医務所を改装した空間が作品展示に充てられている。ここでは5組のアーティストが参加し、「罪と罰」「時間と記憶」「孤独と言葉」といったテーマを通して、刑務所の現実と向き合う作品を発表する。
西尾美也は、奈良少年刑務所の若年受刑者による詩を基に、200人超の参加者と刺繍で紡いだ《声を縫う》を展示。キュンチョメは奈良監獄の建物の中に、時や場所を超えた祈りの空間をつくり出しすという。三田村光土里は古写真と自身の記憶を重ね、来場者を作品空間に投影するインスタレーション《過ぎてゆく部屋》を発表。風間サチコは奈良監獄から奈良少年刑務所までの歴史を、日本の近代化と少年の更生という二つの物語に重ね合わせた《秩序とNEW僕等と》を見せる。また花輪和は、自身の受刑体験をもとにした著書『刑務所の中』と、その後に描いた『刑務所の前』の原画を紹介する。

また、刑務所と社会をつなぐ活動を続けるNPO Prison Arts Connections(PAC) によるプロジェクト作品も展示され、芸術と社会領域を横断する多様な表現が集う。
C棟のキュレーションは、美術評論家・編集者であり『美術手帖』の元編集長でもある楠見清が担当。空間設計には国際的な美術館展示デザインの経験を持つアドリアン・ガルデールが協力する。
なお同ミュージアム内にはカフェ&ショップも併設され、明治洋食文化を反映した軽食や全国の刑務所作業製品を扱うギャラリーショップが来場者を迎える。
本施設はたんなる歴史保存を超え、監獄を文化的・哲学的な視点から再解釈する新たな場となることを目指す。旧奈良監獄の赤レンガ建築は、訪れる者に歴史の重層と今日的な問いを同時に投げかけることになるだろう。なお、6月25日にはラグジュアリーホテル「星のや奈良監獄」が開業予定となっている。
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