本館建築は辰野金吾設計。「関西の迎賓館」奈良ホテル、新館リニューアルで全館休館

「関西の迎賓館」として親しまれている奈良ホテルが、大規模リニューアル工事のため全館休館に入った。

奈良ホテル本館

 1909年創業、「関西の迎賓館」として知られる奈良ホテルが、大規模リニューアル工事のため、1月4日より全館休館に入った。休館期間は同年6月3日までを予定しており、6月4日からは本館のみでの縮小営業が再開される。

 奈良公園に隣接する小高い丘に建つ同館は、桃山御殿風檜造りの本館を中心に、日本近代建築を代表する存在として知られてきた。その本館を設計したのは、日本銀行本店や東京駅丸の内駅舎などを手がけた建築家・辰野金吾である。

創業以来の姿を守る本館、現代的に再構築される新館

 今回のリニューアルで主な対象となるのは、1984年に増築された新館だ。奈良県吉野地方の建築様式「吉野建て」を採用し、全客室が中庭に面する構成を特徴としてきたこの建物は、改修後、「西館」へと名称を改める。

1984年に増築された新館

 西館のリニューアルコンセプトは「清澄悠然(せいちょうゆうぜん)」。本館が湛えてきた歴史性や静謐な佇まいと呼応しながら、客室やレストラン、宴会場を現代的に再解釈することで、次の時代に向けた奈良ホテル像を提示するという。鉄板焼レストランとして再編される「花菊」や、正倉院文様をモチーフとした宴会場の意匠なども、その試みの一端だ。

 いっぽう、本館は創業以来の意匠と雰囲気を保ったまま、未来へと継承される「変わらぬ核」として位置づけられている。6月4日からは、本館客室をはじめ、メインダイニングルーム「三笠」、ティーラウンジ、バー、ショップの営業が再開される予定。新館誕生以前、すなわち1984年以前と同様の「本館のみ営業」という状態が、約40年ぶりに実現することになる。