シアター・イメージフォーラムで「追悼・大木裕之 撮ることと生きること」開催。代表作18本を上映

2025年10月14日に急逝した映像作家・大木裕之の特集上映「追悼・大木裕之 撮ることと生きること」が、3月14日より東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムで開催される。

 映像作家・現代美術家として活躍した大木裕之(1964〜2025)。その特集上映「追悼・大木裕之 撮ることと生きること」が、3月14日より東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムで開催される。

 大木は1964年東京生まれ。東京大学工学部建築学科在学中の1980年代前半から映画制作を開始。イメージフォーラム映像研究所で制作した3時間に及ぶ大作『松前君の映画』(1988-89)は、無編集の日記的構造によって、撮影行為そのものが思考を生成するプロセスを提示し、強烈な印象を残した。その後も『遊泳禁止』(1989)でイメージフォーラム・フェスティバル審査員特別賞を受賞するなど、早くから評価を得る。

 国際的な転機となったのは、高知県立美術館製作による『HEAVEN-6-BOX』(1995)だ。10分×6セクションという厳密な構造のもと、高知の街と人々の断片を神秘的に編み上げた作品は、第46回ベルリン国際映画祭フォーラム部門ネットパック賞を受賞した。以降も山形国際ドキュメンタリー映画祭やロッテルダム国際映画祭などに招待され、映画界のみならず、美術展「六本木クロッシング」や「あいちトリエンナーレ」などでも作品を発表してきた。

HEAVEN-6-BOX

 今回の特集上映では、上述の『HEAVEN-6-BOX』『遊泳禁止』をはじめ、ゲイ・ピンク作品第1作となった『あなたがすきです、だいすきです』(1994)、四国4県の巡礼をテーマにした『優勝 ―Renaissance』などを網羅。また、1988年に始まり36年間にわたって続いたライフワーク「松前君」シリーズの第1作から、豊田市美術館の展覧会「しないでおく、こと。―芸術と生のアナキズム」展にあわせて制作された最終作『松前君とトヨタ君の映画』(2024-25)までを網羅。

 さらに、亡くなる直前に完成した最新作『木三(ムミ)』(2024-25)もプログラムに含まれる。同作は香川でのワークショップから生まれた「デジ」シリーズの一作であり、大木の晩年の編集感覚を示す重要作だ。

松前君とトヨタ君の映画 ©︎豊田市美術館
木三(ムミ)

 なお上映期間中には、映画評論家の村山匡一郎、柳下毅一郎、多摩美術大学教授の越後谷卓司、そして画家・映像作家の石田尚志らが登壇するトークイベントも予定されている。