東博の《源氏物語図屏風》修復のためのクラウドファンディングが目標を達成。4000万円を超える寄付が集まる【2/2ページ】

 本作は題名のとおり、紫式部による『源氏物語』を題材にした作品で室町時代から続く土佐派の伝統を感じさせる荘厳さを持つ。屏風の一隻の大きさは、縦約160センチメートル、横約370メートルで、一対の屏風として並べると、全長7メートルにも及ぶ。『源氏物語』作中の場面が、全18場面描かれており、金色の雲をかいくぐるように描かれ、貴族文化の華やかな世界を覗き見ているような演出が感じられるものだ。

 しかしながら、本作は各パネルをつなぐ蝶番が壊れ、絵具の剥落や猫による引っ掻き傷、虫食いが見られるなど、極めて危険な状態にある。迅速な修復が必要なものの、国宝や重要文化財を含む多くの文化財が修理を待っている状況にあり、本作のような未指定の文化財の修理費用を捻出することは容易ではないという現状があった。こうした背景から、本クラウドファンディングが実施されることになった。

 このクラウドファンディングは、10月23日にVTuberの儒烏風亭らでんが配信で支援を呼びかけなどもあり、10月後半にかけて支援者が増加。11月3日に目標支援額の3000万円を達成した現在も支援総額が伸びており、募集終了日の12月9日までにどれだけの額になるのか、注目が集まる。