ガウディの原点が蘇る。カサ・バトリョ、裏ファサードと中庭を100年ぶりに修復公開【3/4ページ】

バトリョ家の継承と保存活動

 本修復は、1993年にカサ・バトリョを取得した実業家エンリク・ベルナットの家族によって推進された。娘のニーナ・ベルナットは1990年代から保存活動に携わり、2005年の世界遺産登録に貢献した中心人物である。現在は、その息子であるゲイリー・ゴーティエがCEOとしてプロジェクトを統括している。

カサ・バトリョ 裏ファサード(1906年撮影) © Arxiu Mas-Fundació Institut Amatller d'Art Hispanic

 ニーナは、「長年の努力の結晶であり、ガウディが夢見た本来の姿を取り戻すことができた」と語る。過去にも正面ファサードやロビー、ノーブルフロアの装飾修復が進められており、今後は3階部分の復元にも100万ユーロ(約1億6600万円)が投じられる予定だという。

 修復プロジェクトは記録映像としてもアーカイヴ化され、SNSや施設内展示を通じて順次公開されている。今後は修復の過程を伝える短編ドキュメンタリーの公開も予定されており、文化遺産の共有と継承の新たな試みとして注目されている。

過去の修復の様子(2000年) © Casa Batlló